リッツ・カールトン沖縄開業

本間孝武@久米島

2012年05月29日 00:00


昨年から注目してます!

2012年05月28日(月) 20 tweets 樋口耕太郎(@trinity_inc)さんのツイート

本日リッツカールトン沖縄がオープンします。これと関連して、午後6時10分のNHKニュース(沖縄地方)で、沖縄観光についてコメントします(一瞬だと思いますが)。慣れないことで、緊張丸出しの感じかも知れません・・・。
posted at 13:27:15


一般論として、日帰り圏ではない宿泊型の観光地において、「一番館の法則」というものが成り立つと思う。その地域おいて最級ホテルの質が、その地域に訪れる顧客属性の上限を決定するという考え方だ。
posted at 13:40:20


要は、良いホテルのない地域に、良い顧客はやってこないということだ。したがって、2番手以下のホテルが開業しても、既存の顧客を取り合う競争が増えるだけで、パイ全体が縮小傾向にあるときには、地域の利益率を下げ、人件費が切られ、原価が下げられ、デフレのスパイラルを加速する。
posted at 13:46:58


同じ一軒の開業でも、新たな「一番館」が更新されると、顧客の属性が上がり、サービスの質が向上し、地域に及ぼす波及効果がプラスに働く。
posted at 13:51:23


今日オープンしたリッツがこの役割を果たすことができるかどうかは、定かではない。正直なところ、喜瀬別邸時代の内装から殆ど変化はなく、当時の「デザイナーズマンション」の雰囲気がそれほど改善されているとは思えなかった。
posted at 14:00:52


少なくとも私が直接訪れた世界の10数件のリッツの中では、沖縄が最低水準なのだが、それでも、沖縄の「一番館」を更新するかも知れない、というのが沖縄観光の現状だ(もちろん、TVでそんな事は言っていませんが)。
posted at 14:04:09


私がホテルの再生を行っていたときの教訓は、Bホテルはどれだけ改装しても、Aホテルになることはないということだ。リッツ沖縄の前身、喜瀬別邸はオーナーの金秀が始めから「売るため」に開発したホテルで、「本当に良いものを創ろう」という意識が施設からは殆ど感じられない。
posted at 14:07:45


建物に、何と言うか、作り手の情熱や魂が感じられないのだ。例えばロビー横のトイレのしきりは、安価な建材に重厚「風」のダイノックシートを張ったものだったと思うが、その粗を隠すためかどうか、証明をぐっと落として、まるで闇夜でトイレを使う感じだ。
posted at 14:14:31


喜瀬別邸時代からの従業員の話では、当時の開発コストが40億円。いくら100室の小規模ホテルとはいえ、ハイエンドのクラスとしては、実に安上がりに作ったものだ。それに報道されている今回の改装費が12億円。悲しいかな、その投資額に見合ったクオリティである事は否めない。
posted at 14:18:38


顧客にはその違いがはっきり伝わると思う。リッツはこのホテルで構わないと思っているのだろうが、リッツ本体の経営状態も心配になる。ホルスト・シュルツィが退任して数年経つが、経営の価値観が変わってしまったのだろうか?
posted at 14:21:34


一方で、オーナー側の問題も存在する。建設業を中核とするオーナーの金秀グループは、もともと開発直後に売却することを前提に、喜瀬別邸を開発したのだが、これは、本業の建設業の営業力が低下したことが、本質的な問題ではないか。
posted at 14:27:25


自分で借り入れを行い、そのお金で工事を自社に発注しなければならないほど、営業力・技術力が低下しているように見えるのだ。
posted at 14:29:58


多額の借入を起こし、自社に工事を発注しても、開発したホテル(喜瀬別邸)が第三者に素早く売却できれば、大きな利益に繋がる。しかし、売却前に国際金融市場が大きく崩れ、目算が外れてしまったのだと思う。
posted at 14:32:19


資金を返済しようにも売却できず、自社運営を続けなければならなかったのだが、魂の入らない運営で十分な利益は生まれない。多額の借金を背負いながら、フローで思うように利益が生まれず、起死回生の打開策として、リッツを誘致したと思う。
posted at 14:35:17


恐らくリッツが条件にしたと思われる追加投資の12億円を払ってでも、また多額の運営手数料を払ってでも、リッツが必要だったろう。追加出資+高額な運営手数料で金秀は、この事業からは殆ど利益が上がらない筈だ。
posted at 14:37:16


借金は12億円増え、事業からは更に利益が上がらない構造が、リッツ誘致の財務的な意味なのだが、ここでリッツが僅かでも黒字を生み出すことができれば、沖縄の一番館として、アジアの投資家あたりに高値で売却できる可能性が生まれる。
posted at 14:39:13


逆に、そうしなければ、なかなか借金を返す方法はないだろう。したがって、これは私の邪推だが、リッツ沖縄は運営が軌道に乗った段階で遠からず売却されることになるのではないか。
posted at 14:41:03


今日は、沖縄の金融機関のトップ歴々がセレモニーに参加していたが、資金回収がなされるかどうか、見届けに来たということだろうか。
posted at 14:42:13


オーナーが、建設業の収益をカバーするために、売るために作った「高級」ホテル。世界最低水準のリッツでも、一番館を更新する(かも知れない)沖縄観光。課題はまだまだ多いが、リッツの参入で、少しでも「質」の議論に県民の意識が向けられる事を祈るばかりだ。
posted at 14:45:50


(リッツ・カールトン沖縄開業)
posted at 14:46:03


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